一般内科,在宅診療
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院長コラム(診療・産業医)

第一回 2012年12月

皆さん初めまして。
小田内科クリニックの院長の小田です。
昨年の12月1日に開業して以来、早1年がたちました。
夢中で走り抜けた1年でもあり、その間、多くの方々の援助や助言に感謝しております。
今後とも、どうかよろしくお願いいたします。
さて今回、診療とは少し違った角度から、健康というものを考える場を作ってみました。
いわゆる、プライマリーケアーの範疇に入る「産業医」としての視点で予防医学を考えていきたいと思います。多分に私自身の考え方や、あまりなじみのない知識が出てくることから、エッセイ的な要素が多いと思いますので気楽に読んでいただきたいと思います。
そこで、そもそも「産業医」とはなにかということですが、それについて詳しくは次回号に譲りたいと思います。一言で言えば「病気を未然に防ぐために医学知識に基づいて、指導・助言する医師」となるかと思います。次回号からは、より具体的なお話に移っていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。



第二回 2013年1月

皆さんこんにちは。
寒い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は産業医がどのようなものかということの概観を示したいと思います。
産業医の基盤は、臨床医とは少し違っていて法律に強く則って仕事の内容が決められているということです。
例えば、「月1回以上職場の巡回をしなければならない。」とか「健康診断結果の内容を個人個人に知らせなければならない。」など、仕事の内容が定められています。
職場は、定年に至るまでで人生で最も長く過ごす場所であるにもかかわらず、戦前までは、職場での健康維持管理が重要視されていませんでした。
戦後憲法は主権者である国民の「生命・自由・財産」を守ることを主眼として成立しています。そこには、医療と関連する「生命を守る」ということが謳われています。
そこで、憲法理念から派生した法律で産業医に関連する基本的法律は、皆さんもご存知の「労働基準法」です。この法律から安全衛生部分を独立させた形で「労働安全衛生法」が昭和47年にできあがりました。この法律の趣旨は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」とのことです。
ここでのキーワードは「労働者」「健康」「環境」「安全」です。
「労働者」はこの法律によって恩恵を受ける主体者「安全・健康・環境」は改善されるべく対象です。しかし、一方的に使用者や産業医だけに義務を課しているのではなく企業全体で協力していくことが望まれています。
次回はこれらが、どのような構成で運営されているかお話しします。



第三回 2013年3月

皆さんこんにちは。
今年も、インフルエンザの流行を経て花粉症の季節になりました。
何かと、健康を維持するのも大変な時代となってきています。
しかし、医療の発達に伴って事前の予防により、病気の発症やたとえ発症しても軽くすませる方策すなわち、プライマリーケアーも進歩してきています。
さて、前回の続きですが勤労者の安全・健康維持を有効かつ実効的にする具体的な組織構成についてお話しします。
それぞれの企業では、まず衛生安全について話し合う会を設置します。
国で言えば、国会にあたります。これを安全衛生委員会といいます。
この構成は
(1)総括安全衛生管理者(事業者あるいは工場長)
(2)衛生管理者(事業者が有資格者のなかから選ぶ)
(3)産業医
(4)衛生管理の経験のあるもの
などです。安全衛生委員会は毎月1回、開催することになっていて議事は多数決では決定しないことになっています。
このなかで、職場の「健康管理」「作業管理」「作業環境管理」の3大管理を円滑に行うための合議をしていくことになります。
そして、有効な決定事項は各部署に通達され、実行あるいは努力目標とされていきます。
以上簡単に流れを書きましたが、次回はこの会議でどのようなことが議論されているかについてお話ししたいと思います。



第四回 2013年5月

皆さんお元気ですか。
淡い緑が心地よい季節になってまいりました。
今回は、企業の安全衛生活動での中心である安全衛生委員会ではどのようなことが議論・議題とされているのかお話ししたいと思います。
前回お話ししたように、より安全で快適な職場を実現するために3大管理を基本として展開・発展させてゆくことが重要となっています。
(1)健康管理に対しては、定期健康診断の実施とその結果を有効に使ってもらえる方策を議論します。
また、季節ごとに注意すべき疾患についての予防、例えば秋から冬にかけてはインフルエンザ、春には花粉症といった季節特有の疾患についてその年の方針を立てます。

(2)労働災害を未然に防ぐための「ヒヤリー・ハット」の検討。
「ヒヤリー・ハット」についてお話しします。
通勤を含めた就業時間内で、「ひゃっ!」としたこととか「はっ!」としたこと、いわば労災事故になる寸前の気づきに対する「事実」をいいます。 これは、労災事故の底辺には多くの「ヒヤリー・ハット」なる事実が重なってその結果、事故が生じるという考え方です。例えてみれば、水面上に見える氷山が事故であり、その下には多くの「ヒヤリー・ハット」なる事実の本体が隠れているはずだという考え方です。この水面下の「ヒヤリー・ハット」なる事実を顕かにして事前に大きな事故=労災事故を防ごうということです。
したがって、「ヒヤリー・ハット」の提出が多ければ多いほど、労災事故が生じる根元が顕かになり対策することにより、大きな事故を防げることになります。これら「ヒヤリー・ハット」を一つ一つ検討し、対策を考え職場全体に還元していきます。

(3)実際に生じた労災事故の詳細な分析と今後の改善と防止策の検討
以上が、安全衛生委員会で議論・検討されることの大まかな流れです。



第五回 2013年7月

今年は、梅雨が短く暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。
さて、前回までは安全衛生委員会で、どのようなことが議論されているかということを具体的にお話ししました。その中でも、「ヒヤリーハット」が事前に労災事故を防ぐためには最も重要な要素であることでした。
「ヒヤリーハット」は、その性格上、自分(あるいは他人)の不注意や失敗という側面があるために最初のうちはなかなか提出しにくいものですが、「ヒヤリーハット」として出されたものは、その内容のみが重要であって、誰が失敗したとか誰の不注意だとか言ったことは全く問題にしません。事実のみに注目して、それを素材に今後の労災防止につなげていくこととなります。「ヒヤリーハット」=色のついていない事実と言えるでしょう。
したがって積極的に提出することによって、労災事故の確率が低くなっていきます。
このように「ヒヤリーハット」は、労働安全上非常に重要で、企業によっては一定数以上提出するようノルマを課している場合もあります。


 

第六回 2013年9月

皆さんこんにちは。
今年の夏は、だらだら暑い日が続いています。これも温暖化のせいでしょうか?
さて、前回までで産業保険の概要を説明しました。要約すると、労働者は仕事にかかわる時間は家での時間よりずっと多く、生活習慣は、仕事場およびその関連において形成されることとなります。
そこで、仕事場の環境整備、仕事の内容とその仕方などが、健康管理には重要となるのです。
これらをよりよいものとして健康増進に資していくのが産業保険の目的であります。
前回まで、主として環境整備を中心として説明してきましたが、仕事の内容・仕方については例えば、鬱から仕事復帰するときのリハビリスケジュールの作定などがあります。
また、残業時間がある一定の時間を超えると本人と面談して、健康状態の把握と残業時間を減らすよう、勧告したりします。
このように個々個人との対話と相談が重要な一面もあります。

以上、6回にわたって産業医の概要を説明してきました。次回からはUpdateな話題を含めて、生活習慣病についてお話していきたいと思います。


 

第七回 2013年11月

皆さんいかがお過ごしですか?
今回から「成人病=生活習慣病」に入りたいと思います。
<高血圧症について>
病名はその病気の特徴をよく表しています。この「高血圧症」もその名の通り血圧→高いとなります。また「病」を使わず「症」という字をあてているのにも意味があります。
そうです。「高血圧」は、一般にいう病気とはすこしちがうのです。高血圧症のほとんどは「ある一定の年齢に達すると徐々に血圧が上がってくる体質」が原因となっています。医学用語では「本態性高血圧症」といいます。高血圧体質の原因には、遺伝的・習慣的・環境的要素があげられます。
これらの要素が、複雑に絡み合って中年以降にいわゆる「高血圧症」となるのです。この段階ではまだ病気とはいえません。血圧が高い状態を放置して、全身の血管や心臓に負担をかけ続けていると本当の病気である、脳出血・脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・腎不全等の恐ろしい病気に進展していくことになるのです。
よく患者さんで「血圧の薬を飲み始めると一生飲まなくてはならないのでイヤダ!」と言われる方がいます。しかし、高血圧は「症」であって「病」ではないのです。前述のような本当の病気にならないためにも、病気以前の体質改善のために薬(降圧剤といいます)が必要な人は飲むように勧めます。
もちろん、生活習慣における改善も必要です。

(1)塩分を控える(薄味に慣れる)
(2)寝不足やストレスをさける。
(3)たばこ・コーヒーをとりすぎない。
(4)適度な運動をする。


といったことはみなさんもよく聞くことと思います。血圧を正常に保つということは、血管を健康に保つと言うことになります。血管の健康はすべての臓器を健康に保つ必要条件と言えましょう。


 

第八回 2014年3月

皆さんお元気ですか。
今回は、生活習慣病の第2回として糖尿病のお話をしたいと思います。
前回の高血圧症は、重大な病気になる前段階であるということでしたが、今回の糖尿病は病という名の通り、一人前の病気です。
「糖尿病」という名前から、尿に糖が出る病気であると理解しておられる方が多いと思います。でも実は尿に糖が多く出ることがこの病気の本質ではなく、血液中の糖がいつまでも下がらずに、だらだらと高い状態が続くことにあります。
「血液中の糖を下げる力が下がり、その結果血糖値が高い状態が続く。」
これが、糖尿病の本質です。
それでは糖を下げる力とは何でしょうか。それは糖をエネルギーに変えて消費すること、すなわち(1)ホルモンであるインシュリン(膵臓から出ています)が血液中の糖を細胞内に取り入れ(2)細胞内に入った糖をエネルギーに変換して消費する、この2つの過程が血糖値を下げる主なる力です。
インシュリン自身が糖を下げるのではなく糖を消費させるために、細胞内に糖を取り入れるのが、インシュリンのやくめです。
この2つの過程が低下すると糖尿病になると考えてもらって良いと思います。
(1)インシュリン量の低下→糖が細胞内に取り込めない。→細胞内で糖を利用できない→血中の糖が増加する→糖尿病となる。
(2)運動しない。→エネルギー消費の低下→消費の低下にかかわらず糖を多くとる。→過分な糖が血液中に残る。→血液中の糖が上がる→糖尿病となる。
このような図式が、考えられます。


 

第九回 2014年5月

「目には青葉山ほととぎす初鰹」夏の便りが届き始める、カツオのおいしい陽気ですね。
今年はあいにく不漁とのことですが、皆さんお元気ですか。
 さて、健康診断は事業所によって四月、七月、九月と行われる時期こそ違え、毎年行われます。年中行事としてなんとなく受けている方もおられると思いますが、そのような方は、実はかなり幸せな方だと思います。健康である証拠でもあるからです。
 しかし、そのような方でも健康診断の結果をみるときは、学校の試験の点数をみるときのように少しどきどきするのではないでしょうか。
 百点=すべて正常ならよいのですが、なかなかそういうわけにもいかないようです。一つや二つは、異常値があるのがふつうです。そのとき、その異常値が自分の健康にとってどういう意味があるのだろうということがなかなかわからないと思います。

 健康診断は、企業においては年最低一回以上はすることが義務づけられています。しかもする項目も定められています。しかし、法律にあるから健康診断をするのではなく「健康に配慮して事故なく就業させる」義務が雇用者側にあるからです。
 このことは、被用者・雇用者双方にとってメリットがあるばかりか、社会的にも疾患の早期発見と早期治療につながり、医療費の節約、早期の就業復帰が促進され労働力の確保が容易になります。
 従って、健康診断は自分のためだけではなく家族のため・会社のため・社会のためでもあるのです。皆さん喜んで健康診断を受けましょう。
 


 

第十回 2014年8月

梅雨も明け、蝉の声が、祭りのお囃子に隠し味のように溶け込む季節となりました。
皆さんいかがお過ごしですか。
さて、健康診断の結果も皆さんの手元にかえってきている頃だと思います。
今回から、その健康診断結果の見方についてお話ししたいと思います。
健康診断は、大きく分けて7つぐらいに分類されます。


①問診:今までに罹ったことがある病気について聞きます。現在何か症状があるか聞きます。
②理学的所見:実際に聴診器をあてて、心臓の音や肺の音を聞きます。血圧を測ります。
③血液検査:貧血・肝機能・腎機能・脂質・血糖値
④尿検査:蛋白・血液・糖などが出ていないか調べます。
⑤胸部レントゲン写真:主に肺に病気がないか調べます。心臓の大きさを見ます。
⑥心電図:心臓に病気がないか調べます。
⑦オージオ:難聴があるか無いか調べます。


問診は聞くことによって、その他の検査上で特に注目しなければならない検査項目がわかります。
例えば、以前結核になったことがある人は特に、胸部レントゲン写真に注目し再発していないかどうか見ます。
肝炎にかかったことがある人は肝機能に注目します。
次に、理学的所見については、聴診器が主体であるため心臓については雑音の有無と心拍のリズムを聴き正常か異常かをみます。
また、肺に異常な呼吸音がないかを聴きます。
血圧は高血圧の有無を調べます。以上は、直接皆さんから情報を取る検査です。
③から以下は次回に詳しく説明しましょう。


 

第十一回 2015年7月

皆さんお元気ですか。
だいぶ、間が空いてしまいました。再び2ヶ月に1回のペースで再開したいと思います。
それでは、前回の続きをお話しします。

健康診断で

今回は血液の液性成分についてお話しします。液性成分と言っても、血液はすべて液体の様に見えますが、その中には前回お話ししたように固形成分が多く含まれています。しかし血液の大半は血清という液性成分がほとんどを占めています。
血清は血液を遠心分離したその上澄みの液体部分を言います。その中には、酵素・免疫のタンパク・アルブミン・糖・脂質・電解質等があり、健康診断で血液を採って調べる項目はこの血清を材料としています。
健康診断の用紙を用意してみてください。項目の中にGOT,GPT,γ-GPTという項目があると思います。これらはいずれも肝臓及び胆道に多く含まれる酵素です。これらの上昇は肝臓あるいは胆嚢の異常を示しています。
次に、総コレステロール(T-ch)、中性脂肪(TRG)、HDL-ch等は血液中の脂質量を示しています。
総コレステロールが高いと良くないといわれますが、一概にそうとも限りません。総コレステロールは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの総和とほぼ等しいので、総コレステロールが高くてもその中の善玉が多ければ問題がなく、悪玉が多い場合の高コレステロールが問題となるわけです。そこで善玉であるHDL-chを調べるわけです。悪玉コレステロールが高いと、全身の血管の動脈硬化を促進し様々な病気の原因となります。


 

第十二回 2015年9月

皆さんこんにちは。
今年の夏は異常に暑かったうえに、大型台風にも見舞われ健康にも、日常生活でも大変だったことと思います。
さて、前回からの健康診断結果の意味についての続きです。
今回は、クレアチニン(Cr)と遊離窒素(BUN)から始めていきます。
クレアチニンは、主に筋肉の分離物(代謝物)で腎臓から排出されます。
これが、血液中に多いと腎臓の機能が低下している証拠となり、したがって腎臓機能を反映することになります。
この値が大きい→腎臓からの排泄が減少→腎機能の低下ということです。
遊離窒素は主にタンパク質の分解物のひとつで、同様な理屈で血液中の値が大きいと腎機能の低下が疑われます。
次に、アミラーゼという酵素がありますが、これは主に膵臓と耳下腺から分泌されます。これが上昇していると、膵炎や耳下腺炎が疑われますが、さらなる検査が必要となります。
以上が、一般的な臓器のスクリーニングとして意味を持つ血清検査です。


 

第十三回 2015年11月

秋も深まり、朝夕は寒さを感じる季節となりました。皆さんお元気ですか。

さて、今回は脂質系についてお話しします。

総コレステロール(T-ch)、中性脂肪(TRG)、善玉コレステロール(HDL-ch)、悪玉コレステロール(LDL-ch)等は
血液中の脂質を示しています。

総コレステロールが高いと良くないといわれますが、一概にそうとも限りません。
総コレステロールは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの総和とほぼ等しいので、
総コレステロールが高くてもその中の善玉が多ければさほど問題がなく、
悪玉の比率が多い場合の高コレステロールが問題となるわけです。そこで善玉であるHDL-chを調べるわけです。
悪玉コレステロールの比率が高いと、全身の血管の動脈硬化を促進し様々な病気の原因となります。

成人病の原因のほとんどは、この血管の動脈硬化が主たる原因であります。
たとえば、高血圧症は全身の血管が硬くなって、あるいは内腔がせまくなって、血管内圧が高くなることによって生じてきます。

また、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血なども血管が詰まったり、血管がしなやかさをなくすことで、破綻することにより生じます。

いっぽう、動脈硬化そのものが、病気かと言えばそうでもないのです。血管の硬化は年齢とともに進化するもので、加齢変化ともいえます。
したがって、いかに動脈硬化を遅らせるかが長生きの秘訣であるといえるでしょう。


 

第十四回 2016年1月

明けましておめでとうございます。
はや、開業してから5回目の新年を迎えることとなりました。今年も初心を忘れず皆さんと伴に健全な医療を推進していく所存です。
さて、健康診断の項目は前回までの血液検査が終了し次の尿検査に移ります。
尿検査については主に尿中に含まれる異常成分の検出となります。

(1)タンパク: タンパク質は腎臓の尿細管というところから、体内に再吸収されるので尿中に検出されると、異常ということになります。
高血圧症、ネフローゼ症候群、各種腎臓病、糖尿病などで検出されます。
しかし、激しい運動後や高熱を伴う感染症などでも軽度みられることがあります。

(2)糖: 糖もまた、尿細管で再吸収されるので検出されたら異常ということになります。代表的なのは糖尿病です。
しかし、血液中の糖は高くないのに尿に糖が検出される場合があります。
これは、尿細管での糖の再吸収の閾値が低いために糖が尿にでることがあり腎性糖尿病といって、真性の糖尿病とは区別されます。

(3)血液: 腎臓では、血液中のいらない成分を分離濾過して外に排出するのが本来の機能ですが、その血液そのものが外に出るということは、異常であることは解ると思います。
したがって、尿を作り排出するというすべての過程で関与する血管のなんらかの破綻が原因であり腎性、腎後性(尿管や膀胱)での精査が必要となります。

以上、代表的な3種類の成分を上げましたが、その他ケトン体、ウロビリノーゲン、沈渣なども調べることがあります。次回は胸部レントゲンと心電図についてお話しします。


 

第十五回 2016年3月

自然も人間も来たるべき本格的な春に向かって
準備の時期である3月となりました。皆さんお元気ですか。
今回は、健康診断の最終回です。
残っていた、心電図とレントゲンについて、お話しします。
まず、心電図ですが一般に心臓を12の方向から電気的に見ています。
それぞれの方向の波形の総合によって、診断します。
主に、2つのことに注目して見ていきます。
1)波形
 波形の異常により、心筋の状態や心臓の大きさが解ります。
2)リズム
 いわゆる、不整脈の診断を行います。
この2項目をもって、心臓の状態を判断します。

狭心症、心肥大、心不全 等は波形の総合で診断します。
心房細動、期外収縮、脚ブロック 等はリズム異常で診断します。

次に胸部レントゲンについてですが、
これはエネルギーの強い電磁波の透過性における強弱をフィルム上に感光させて診断します。
透過性が良い組織や状態でより黒く写ります。
健康診断での胸部レントゲン検査では、主に感染症、特に結核および腫瘍類の早期発見が目的となります。

以上、ざっとですが健康診断項目の意義と目的についてお話ししました。


 

第十六回 2016年7月

暑中お見舞い申し上げます。
そろそろ、梅雨も明けこれからが夏本番ですね。夏に強い人と弱い人とそれぞれですが、仕事に、遊びに活動が他の季節より活発になってきます。そこで、気を付けたいことは暑さを軽く見ないということです。
そこで今回は、「熱中症」についてお話ししたいと思います。
イメージとしては、体の中で起こる火事と思っていただければ良いと思います。
熱中症は、外にいるときだけでなく、仕事中や入浴中など屋内にいるときにでもよく起こります。原因は、体内にこもった熱が外に出ないため、異常に高温となるために生じます。
症状としては、①発熱②意識障害(軽度~重度)③痙攣等、かなり重篤です。したがって、暑い環境下で、このような症状があれば熱中症を疑い、安静にさせ、水分補給と体を冷やすことが重要です。しかし、ふつうは手に負えないことが多いので、すぐに救急病院に転送することがよいでしょう。
予防ですが、発生の原因から①十分水分を取る②熱がこもらない服装をする③睡眠をよく取り体力を付ける等です。
暑い環境にさらされる機会が多くなるため、予防には特に留意して快適な夏をおくりたいものです。

熱中症予防8か条
1.知って防ごう熱中症
2.暑いとき、無理な運動は事故のもと
3.急な暑さは要注意
4.失った水と塩分を取り戻そう
5.体重で知ろう健康と汗の量
6.薄着ルックでさわやかに
7.体調不良は事故のもと
8.あわてるな、されど急ごう救急処置

第十七回 2016年9月

そろそろ、暑さもやや和らぎ秋の気配が感じられる様になりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。秋と言えば・・・読書の秋、勉学の秋、そうです、食欲の秋です!
そこで今回は少し専門的になるのですが巷でよく耳にする「メタボリックシンドローム」についてお話ししたいと思います。
日本語に直訳すると「代謝症候群」ということになります。なんのこっちゃ?ですね。

一言で言うと、冠動脈(心臓を栄養している血管)に高リスクを持つ人たちは、ある一定の種類の検査値に異常が認められる。
このように潜在的に冠動脈にリスクがある状態のことを「メタボリックシンドローム」と呼んでいます。
まだわかりにくいと思いますので、具体的にお話しします。

ある一定の種類の検査値異常とは以下の異常です。

a. 腹部の肥満(ウエスト)
  男 85cm以上
  女 90cm以上
b. 高中性脂肪
  男女とも150mg/dl以上
  低HDL(善玉コレステロール)男女とも40mg/dl以下
c. 高血圧
  男女とも収縮期血圧が130以上
  拡張期血圧が85以上
d. 血糖値
  男女とも空腹時血糖で110mg/dl以上
 

以上のうち、「a.」は必須で他の「b.c.d」のうち2つ以上があてはまれば「メタボリックシンドロームすなわち、冠動脈にリスクをもっている。」ということになります。
この診断基準をよく見ると、そうです①肥満②高脂血症③高血圧④糖尿病の前段階程度の状態を2つ以上持つ人があてはまるわけです。
次に冠動脈にリスクがある状態、とは何でしょうか。
これについては、次回詳しく説明したいと思います。


 
 

第一八回 2016年11月

紅葉が美しい季節となりました。枯れた物に対する慈しみを感じる希有で深みのある文化は大変素晴らしいと思います。
さて、前回の終わりに述べた「冠動脈リスク」についてお話しします。冠動脈とは筋肉である心臓の表面を走る細い血管網で心筋のポンプ作用を可能にするエネルギー代謝を担う血管網です。
簡単に言えば、心臓を栄養している血管網です。当然、この血管に異常があれば心臓に栄養が十分いかなくなるために機能に支障が生じるわけです。具体的に言えば冠動脈硬化症により、血管内腔が細くなったり、果ては詰まったりしてくることです。前者の状態は「狭心症」後者は「心筋梗塞」といった疾患になるわけです。
従って「冠動脈リスク」とは狭心症や心筋梗塞に移行させるリスク=危険を意味します。
前回のメタボリックシンドロームでの冠動脈リスクはメタボリックシンドロームの内容そのものとなります。

第一九回 2017年1月

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
インフルエンザの季節です。健康に十分注意してください。
さて、前回からのつづきです。
冠動脈リスク=メタボリックシンドロームということでしたが詳しく説明したいと思います。
メタボリックSYは①高脂血症 ②高血圧症 ③高血糖がその内容です。
①高脂血症:脂質異常症とも呼ばれ、血中のコレステロールや中性脂肪が多くなる状態を言います。血液は血管、特に動脈の中を流れているのはご承知の通りです。血液は常に流れていますがその中に溶け込んでいるコレステロールや中性脂肪が多いと血管壁に付着しやすくなり時間とともに沈着してゆき血管内腔を狭くしていきます。同時に血管壁の弾力性を奪い堅くしてゆきます。これが、動脈硬化です。

②高血圧症:動脈血管内の圧を反映しているのが血圧です。文字通り、高血圧症は動脈血管の内圧が高い状態です。内圧が高いと血管壁を押し、血管壁が引っ張られるので壁が次第に太く堅くなってきます。
そうです、動脈硬化を促進することになるのです。

③高血糖:糖尿病によって生じる血管内の高血糖は血管内に糖の沈着や脂質代謝異常による脂質沈着を促進しこれもまた、動脈硬化に資するものとなります。

第二十回 2017年3月

そろそろ、曙とともに梅の薫りやウグイスの鳴き声が春の足音を告げるようになってまいりました。いかがお過ごしですか。
前回メタボリックシンドロームの内容は動脈硬化促進内容と同じであることを説明しました。
そこで、メタボリックシンドロームの危険性=リスクは動脈血管一般にあてはまることとなります。動脈には太い血管から細い血管まで千差万別です。ところが皮肉なことに重要臓器と言われる脳・心臓・腎臓を流れる動脈血管は特に細く動脈硬化による狭窄や破綻(血管の一部が破れて出血)に非常に弱いわけです。
脳→脳梗塞(狭窄)脳出血(破綻)心臓→狭心症や心筋梗塞(狭窄)
腎臓→腎硬化症(狭窄)→腎不全など、生活習慣病によって生じる最終病態は血管の狭窄や完全閉塞 硬化による破綻出血がほとんどです。その根底には進行性の動脈硬化があることはもうおわかりかと思います。

第二十一回 2017年6月

雨をかいくぐりながらバーベキューが楽しみになる季節となりました。熱中症にも、生ものにも注意してください。
今回は、メタボリックシンドロームを中心とした生活習慣病のまとめをしたいと思います。

メタボリックシンドローム=動脈硬化促進条件



動脈硬化促進=動脈血管内の狭窄と硬化の進展



特に細い動脈は重要臓器にある。動脈の狭窄や硬化により重要臓器に酸素や栄養が行き渡らなくなり重要臓器が機能不全に陥る。



慢性機能不全状態。慢性腎不全、狭心症、一過性脳虚血発作 等



急性で重篤な機能不全に陥る。動脈血管の完全閉塞や破綻出血
急性心筋梗塞(冠動脈のれん縮性梗塞を除く)脳梗塞、
脳出血、腎梗塞、等

以上、動脈硬化こそが生活習慣病の根本原因(元凶)であることが解ったとおもいます。
ところが、動脈硬化は少しづつ日々起こっています。すなわち老化と同意義です。
そうなると、健康で長生きすることは、いかに血管の老化をおそくするかにかかってくることになります。

第二十二回 2017年9月

今年の関東の夏は雨が多く暑さを満喫できないで終わりそうですが、一方、熱中症は少なかったようです。
物事、良い面と悪い面が表裏一体ですね。
昼の蝉の音と対照的に夜の虫の音がいっそう心地よく感じる今日この頃です。
そこで思い出したのですが、日本人以外は虫の音は雑音としか聞こえないようなのです。
日本人は虫の音を左脳で聞くために、意味を持って感じられるようです。
そういえば、古代から和歌や俳句で鈴虫や蝉の音に風流を感じ言葉にしています。
このことは、音に意味を感じて言語として表現していると言えるでしょう。
即ち言語や論理を司る左脳で虫の音を聞いていることになります。
自然の現象を擬人的、論理的に意味を持たせてきた日本文化は人も自然の一部であると認識してきた証拠でもあると思います。
自然と対峙して文化・文明を営んできた西洋文化とは正反対の感があります。
自然と対峙してきた西洋文明から、現在の自然科学が生まれました。そして対峙することにより客観性という立場を生みだしました。
客観性は普遍性を担保しているのは確かでそれ故、科学は大いに進歩したことは間違いないと思います。
が・・科学の一つである医学、特に臨床医学においては100パーセント客観性にたつことはむしろ危険であり、有害では無いだろうかと思う今日この頃です。