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第一八回 2016年11月

2016.11.01更新

紅葉が美しい季節となりました。枯れた物に対する慈しみを感じる希有で深みのある文化は大変素晴らしいと思います。
さて、前回の終わりに述べた「冠動脈リスク」についてお話しします。冠動脈とは筋肉である心臓の表面を走る細い血管網で心筋のポンプ作用を可能にするエネルギー代謝を担う血管網です。
簡単に言えば、心臓を栄養している血管網です。当然、この血管に異常があれば心臓に栄養が十分いかなくなるために機能に支障が生じるわけです。具体的に言えば冠動脈硬化症により、血管内腔が細くなったり、果ては詰まったりしてくることです。前者の状態は「狭心症」後者は「心筋梗塞」といった疾患になるわけです。
従って「冠動脈リスク」とは狭心症や心筋梗塞に移行させるリスク=危険を意味します。
前回のメタボリックシンドロームでの冠動脈リスクはメタボリックシンドロームの内容そのものとなります。

第十七回 2016年9月

2016.09.01更新

そろそろ、暑さもやや和らぎ秋の気配が感じられる様になりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。秋と言えば・・・読書の秋、勉学の秋、そうです、食欲の秋です!
そこで今回は少し専門的になるのですが巷でよく耳にする「メタボリックシンドローム」についてお話ししたいと思います。
日本語に直訳すると「代謝症候群」ということになります。なんのこっちゃ?ですね。

一言で言うと、冠動脈(心臓を栄養している血管)に高リスクを持つ人たちは、ある一定の種類の検査値に異常が認められる。
このように潜在的に冠動脈にリスクがある状態のことを「メタボリックシンドローム」と呼んでいます。
まだわかりにくいと思いますので、具体的にお話しします。

ある一定の種類の検査値異常とは以下の異常です。

a. 腹部の肥満(ウエスト)
男 85cm以上
女 90cm以上

b. 高中性脂肪
男女とも150mg/dl以上
低HDL(善玉コレステロール)男女とも40mg/dl以下

c. 高血圧
男女とも収縮期血圧が130以上
拡張期血圧が85以上

d. 血糖値
男女とも空腹時血糖で110mg/dl以上

以上のうち、「a.」は必須で他の「b.c.d」のうち2つ以上があてはまれば「メタボリックシンドロームすなわち、冠動脈にリスクをもっている。」ということになります。
この診断基準をよく見ると、そうです①肥満②高脂血症③高血圧④糖尿病の前段階程度の状態を2つ以上持つ人があてはまるわけです。
次に冠動脈にリスクがある状態、とは何でしょうか。
これについては、次回詳しく説明したいと思います。

第十六回 2016年7月

2016.07.01更新

暑中お見舞い申し上げます。
そろそろ、梅雨も明けこれからが夏本番ですね。夏に強い人と弱い人とそれぞれですが、仕事に、遊びに活動が他の季節より活発になってきます。そこで、気を付けたいことは暑さを軽く見ないということです。
そこで今回は、「熱中症」についてお話ししたいと思います。
イメージとしては、体の中で起こる火事と思っていただければ良いと思います。
熱中症は、外にいるときだけでなく、仕事中や入浴中など屋内にいるときにでもよく起こります。原因は、体内にこもった熱が外に出ないため、異常に高温となるために生じます。
症状としては、①発熱②意識障害(軽度~重度)③痙攣等、かなり重篤です。したがって、暑い環境下で、このような症状があれば熱中症を疑い、安静にさせ、水分補給と体を冷やすことが重要です。しかし、ふつうは手に負えないことが多いので、すぐに救急病院に転送することがよいでしょう。
予防ですが、発生の原因から①十分水分を取る②熱がこもらない服装をする③睡眠をよく取り体力を付ける等です。
暑い環境にさらされる機会が多くなるため、予防には特に留意して快適な夏をおくりたいものです。

熱中症予防8か条
1.知って防ごう熱中症
2.暑いとき、無理な運動は事故のもと
3.急な暑さは要注意
4.失った水と塩分を取り戻そう
5.体重で知ろう健康と汗の量
6.薄着ルックでさわやかに
7.体調不良は事故のもと
8.あわてるな、されど急ごう救急処置

第十五回 2016年3月

2016.03.01更新

自然も人間も来たるべき本格的な春に向かって
準備の時期である3月となりました。皆さんお元気ですか。
今回は、健康診断の最終回です。
残っていた、心電図とレントゲンについて、お話しします。
まず、心電図ですが一般に心臓を12の方向から電気的に見ています。
それぞれの方向の波形の総合によって、診断します。
主に、2つのことに注目して見ていきます。
1)波形
 波形の異常により、心筋の状態や心臓の大きさが解ります。
2)リズム
 いわゆる、不整脈の診断を行います。
この2項目をもって、心臓の状態を判断します。

狭心症、心肥大、心不全 等は波形の総合で診断します。
心房細動、期外収縮、脚ブロック 等はリズム異常で診断します。

次に胸部レントゲンについてですが、
これはエネルギーの強い電磁波の透過性における強弱をフィルム上に感光させて診断します。
透過性が良い組織や状態でより黒く写ります。
健康診断での胸部レントゲン検査では、主に感染症、特に結核および腫瘍類の早期発見が目的となります。

以上、ざっとですが健康診断項目の意義と目的についてお話ししました。

第十四回 2016年1月

2016.01.01更新

明けましておめでとうございます。
はや、開業してから5回目の新年を迎えることとなりました。今年も初心を忘れず皆さんと伴に健全な医療を推進していく所存です。
さて、健康診断の項目は前回までの血液検査が終了し次の尿検査に移ります。
尿検査については主に尿中に含まれる異常成分の検出となります。

(1)タンパク: タンパク質は腎臓の尿細管というところから、体内に再吸収されるので尿中に検出されると、異常ということになります。
高血圧症、ネフローゼ症候群、各種腎臓病、糖尿病などで検出されます。
しかし、激しい運動後や高熱を伴う感染症などでも軽度みられることがあります。

(2)糖: 糖もまた、尿細管で再吸収されるので検出されたら異常ということになります。代表的なのは糖尿病です。
しかし、血液中の糖は高くないのに尿に糖が検出される場合があります。
これは、尿細管での糖の再吸収の閾値が低いために糖が尿にでることがあり腎性糖尿病といって、真性の糖尿病とは区別されます。

(3)血液: 腎臓では、血液中のいらない成分を分離濾過して外に排出するのが本来の機能ですが、その血液そのものが外に出るということは、異常であることは解ると思います。
したがって、尿を作り排出するというすべての過程で関与する血管のなんらかの破綻が原因であり腎性、腎後性(尿管や膀胱)での精査が必要となります。

以上、代表的な3種類の成分を上げましたが、その他ケトン体、ウロビリノーゲン、沈渣なども調べることがあります。次回は胸部レントゲンと心電図についてお話しします。

第十三回 2015年11月

2015.11.01更新

秋も深まり、朝夕は寒さを感じる季節となりました。皆さんお元気ですか。

さて、今回は脂質系についてお話しします。

総コレステロール(T-ch)、中性脂肪(TRG)、善玉コレステロール(HDL-ch)、悪玉コレステロール(LDL-ch)等は
血液中の脂質を示しています。

総コレステロールが高いと良くないといわれますが、一概にそうとも限りません。
総コレステロールは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの総和とほぼ等しいので、
総コレステロールが高くてもその中の善玉が多ければさほど問題がなく、
悪玉の比率が多い場合の高コレステロールが問題となるわけです。そこで善玉であるHDL-chを調べるわけです。
悪玉コレステロールの比率が高いと、全身の血管の動脈硬化を促進し様々な病気の原因となります。

成人病の原因のほとんどは、この血管の動脈硬化が主たる原因であります。
たとえば、高血圧症は全身の血管が硬くなって、あるいは内腔がせまくなって、血管内圧が高くなることによって生じてきます。

また、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血なども血管が詰まったり、血管がしなやかさをなくすことで、破綻することにより生じます。

いっぽう、動脈硬化そのものが、病気かと言えばそうでもないのです。血管の硬化は年齢とともに進化するもので、加齢変化ともいえます。
したがって、いかに動脈硬化を遅らせるかが長生きの秘訣であるといえるでしょう。

第十二回 2015年9月

2015.09.01更新

皆さんこんにちは。
今年の夏は異常に暑かったうえに、大型台風にも見舞われ健康にも、日常生活でも大変だったことと思います。
さて、前回からの健康診断結果の意味についての続きです。
今回は、クレアチニン(Cr)と遊離窒素(BUN)から始めていきます。
クレアチニンは、主に筋肉の分離物(代謝物)で腎臓から排出されます。
これが、血液中に多いと腎臓の機能が低下している証拠となり、したがって腎臓機能を反映することになります。
この値が大きい→腎臓からの排泄が減少→腎機能の低下ということです。
遊離窒素は主にタンパク質の分解物のひとつで、同様な理屈で血液中の値が大きいと腎機能の低下が疑われます。
次に、アミラーゼという酵素がありますが、これは主に膵臓と耳下腺から分泌されます。これが上昇していると、膵炎や耳下腺炎が疑われますが、さらなる検査が必要となります。
以上が、一般的な臓器のスクリーニングとして意味を持つ血清検査です。

第十一回 2015年7月

2015.07.01更新

皆さんお元気ですか。
だいぶ、間が空いてしまいました。再び2ヶ月に1回のペースで再開したいと思います。
それでは、前回の続きをお話しします。

健康診断で

今回は血液の液性成分についてお話しします。液性成分と言っても、血液はすべて液体の様に見えますが、その中には前回お話ししたように固形成分が多く含まれています。しかし血液の大半は血清という液性成分がほとんどを占めています。
血清は血液を遠心分離したその上澄みの液体部分を言います。その中には、酵素・免疫のタンパク・アルブミン・糖・脂質・電解質等があり、健康診断で血液を採って調べる項目はこの血清を材料としています。
健康診断の用紙を用意してみてください。項目の中にGOT,GPT,γ-GPTという項目があると思います。これらはいずれも肝臓及び胆道に多く含まれる酵素です。これらの上昇は肝臓あるいは胆嚢の異常を示しています。
次に、総コレステロール(T-ch)、中性脂肪(TRG)、HDL-ch等は血液中の脂質量を示しています。
総コレステロールが高いと良くないといわれますが、一概にそうとも限りません。総コレステロールは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの総和とほぼ等しいので、総コレステロールが高くてもその中の善玉が多ければ問題がなく、悪玉が多い場合の高コレステロールが問題となるわけです。そこで善玉であるHDL-chを調べるわけです。悪玉コレステロールが高いと、全身の血管の動脈硬化を促進し様々な病気の原因となります。

第十回 2014年8月

2014.08.01更新

梅雨も明け、蝉の声が、祭りのお囃子に隠し味のように溶け込む季節となりました。
皆さんいかがお過ごしですか。
さて、健康診断の結果も皆さんの手元にかえってきている頃だと思います。
今回から、その健康診断結果の見方についてお話ししたいと思います。
健康診断は、大きく分けて7つぐらいに分類されます。

①問診:今までに罹ったことがある病気について聞きます。現在何か症状があるか聞きます。
②理学的所見:実際に聴診器をあてて、心臓の音や肺の音を聞きます。血圧を測ります。
③血液検査:貧血・肝機能・腎機能・脂質・血糖値
④尿検査:蛋白・血液・糖などが出ていないか調べます。
⑤胸部レントゲン写真:主に肺に病気がないか調べます。心臓の大きさを見ます。
⑥心電図:心臓に病気がないか調べます。
⑦オージオ:難聴があるか無いか調べます。

問診は聞くことによって、その他の検査上で特に注目しなければならない検査項目がわかります。
例えば、以前結核になったことがある人は特に、胸部レントゲン写真に注目し再発していないかどうか見ます。
肝炎にかかったことがある人は肝機能に注目します。
次に、理学的所見については、聴診器が主体であるため心臓については雑音の有無と心拍のリズムを聴き正常か異常かをみます。
また、肺に異常な呼吸音がないかを聴きます。
血圧は高血圧の有無を調べます。以上は、直接皆さんから情報を取る検査です。
③から以下は次回に詳しく説明しましょう。

 

第九回 2014年5月

2014.05.01更新

「目には青葉山ほととぎす初鰹」夏の便りが届き始める、カツオのおいしい陽気ですね。
今年はあいにく不漁とのことですが、皆さんお元気ですか。
 さて、健康診断は事業所によって四月、七月、九月と行われる時期こそ違え、毎年行われます。年中行事としてなんとなく受けている方もおられると思いますが、そのような方は、実はかなり幸せな方だと思います。健康である証拠でもあるからです。
 しかし、そのような方でも健康診断の結果をみるときは、学校の試験の点数をみるときのように少しどきどきするのではないでしょうか。
 百点=すべて正常ならよいのですが、なかなかそういうわけにもいかないようです。一つや二つは、異常値があるのがふつうです。そのとき、その異常値が自分の健康にとってどういう意味があるのだろうということがなかなかわからないと思います。

 健康診断は、企業においては年最低一回以上はすることが義務づけられています。しかもする項目も定められています。しかし、法律にあるから健康診断をするのではなく「健康に配慮して事故なく就業させる」義務が雇用者側にあるからです。
 このことは、被用者・雇用者双方にとってメリットがあるばかりか、社会的にも疾患の早期発見と早期治療につながり、医療費の節約、早期の就業復帰が促進され労働力の確保が容易になります。
 従って、健康診断は自分のためだけではなく家族のため・会社のため・社会のためでもあるのです。皆さん喜んで健康診断を受けましょう。

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