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第十一回 2015年7月

2015.07.01更新

皆さんお元気ですか。
だいぶ、間が空いてしまいました。再び2ヶ月に1回のペースで再開したいと思います。
それでは、前回の続きをお話しします。

健康診断で

今回は血液の液性成分についてお話しします。液性成分と言っても、血液はすべて液体の様に見えますが、その中には前回お話ししたように固形成分が多く含まれています。しかし血液の大半は血清という液性成分がほとんどを占めています。
血清は血液を遠心分離したその上澄みの液体部分を言います。その中には、酵素・免疫のタンパク・アルブミン・糖・脂質・電解質等があり、健康診断で血液を採って調べる項目はこの血清を材料としています。
健康診断の用紙を用意してみてください。項目の中にGOT,GPT,γ-GPTという項目があると思います。これらはいずれも肝臓及び胆道に多く含まれる酵素です。これらの上昇は肝臓あるいは胆嚢の異常を示しています。
次に、総コレステロール(T-ch)、中性脂肪(TRG)、HDL-ch等は血液中の脂質量を示しています。
総コレステロールが高いと良くないといわれますが、一概にそうとも限りません。総コレステロールは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの総和とほぼ等しいので、総コレステロールが高くてもその中の善玉が多ければ問題がなく、悪玉が多い場合の高コレステロールが問題となるわけです。そこで善玉であるHDL-chを調べるわけです。悪玉コレステロールが高いと、全身の血管の動脈硬化を促進し様々な病気の原因となります。

第十回 2014年8月

2014.08.01更新

梅雨も明け、蝉の声が、祭りのお囃子に隠し味のように溶け込む季節となりました。
皆さんいかがお過ごしですか。
さて、健康診断の結果も皆さんの手元にかえってきている頃だと思います。
今回から、その健康診断結果の見方についてお話ししたいと思います。
健康診断は、大きく分けて7つぐらいに分類されます。

①問診:今までに罹ったことがある病気について聞きます。現在何か症状があるか聞きます。
②理学的所見:実際に聴診器をあてて、心臓の音や肺の音を聞きます。血圧を測ります。
③血液検査:貧血・肝機能・腎機能・脂質・血糖値
④尿検査:蛋白・血液・糖などが出ていないか調べます。
⑤胸部レントゲン写真:主に肺に病気がないか調べます。心臓の大きさを見ます。
⑥心電図:心臓に病気がないか調べます。
⑦オージオ:難聴があるか無いか調べます。

問診は聞くことによって、その他の検査上で特に注目しなければならない検査項目がわかります。
例えば、以前結核になったことがある人は特に、胸部レントゲン写真に注目し再発していないかどうか見ます。
肝炎にかかったことがある人は肝機能に注目します。
次に、理学的所見については、聴診器が主体であるため心臓については雑音の有無と心拍のリズムを聴き正常か異常かをみます。
また、肺に異常な呼吸音がないかを聴きます。
血圧は高血圧の有無を調べます。以上は、直接皆さんから情報を取る検査です。
③から以下は次回に詳しく説明しましょう。

 

第九回 2014年5月

2014.05.01更新

「目には青葉山ほととぎす初鰹」夏の便りが届き始める、カツオのおいしい陽気ですね。
今年はあいにく不漁とのことですが、皆さんお元気ですか。
 さて、健康診断は事業所によって四月、七月、九月と行われる時期こそ違え、毎年行われます。年中行事としてなんとなく受けている方もおられると思いますが、そのような方は、実はかなり幸せな方だと思います。健康である証拠でもあるからです。
 しかし、そのような方でも健康診断の結果をみるときは、学校の試験の点数をみるときのように少しどきどきするのではないでしょうか。
 百点=すべて正常ならよいのですが、なかなかそういうわけにもいかないようです。一つや二つは、異常値があるのがふつうです。そのとき、その異常値が自分の健康にとってどういう意味があるのだろうということがなかなかわからないと思います。

 健康診断は、企業においては年最低一回以上はすることが義務づけられています。しかもする項目も定められています。しかし、法律にあるから健康診断をするのではなく「健康に配慮して事故なく就業させる」義務が雇用者側にあるからです。
 このことは、被用者・雇用者双方にとってメリットがあるばかりか、社会的にも疾患の早期発見と早期治療につながり、医療費の節約、早期の就業復帰が促進され労働力の確保が容易になります。
 従って、健康診断は自分のためだけではなく家族のため・会社のため・社会のためでもあるのです。皆さん喜んで健康診断を受けましょう。

第八回 2014年3月

2014.03.01更新

皆さんお元気ですか。
今回は、生活習慣病の第2回として糖尿病のお話をしたいと思います。
前回の高血圧症は、重大な病気になる前段階であるということでしたが、今回の糖尿病は病という名の通り、一人前の病気です。
「糖尿病」という名前から、尿に糖が出る病気であると理解しておられる方が多いと思います。でも実は尿に糖が多く出ることがこの病気の本質ではなく、血液中の糖がいつまでも下がらずに、だらだらと高い状態が続くことにあります。
「血液中の糖を下げる力が下がり、その結果血糖値が高い状態が続く。」
これが、糖尿病の本質です。
それでは糖を下げる力とは何でしょうか。それは糖をエネルギーに変えて消費すること、すなわち(1)ホルモンであるインシュリン(膵臓から出ています)が血液中の糖を細胞内に取り入れ(2)細胞内に入った糖をエネルギーに変換して消費する、この2つの過程が血糖値を下げる主なる力です。
インシュリン自身が糖を下げるのではなく糖を消費させるために、細胞内に糖を取り入れるのが、インシュリンのやくめです。
この2つの過程が低下すると糖尿病になると考えてもらって良いと思います。
(1)インシュリン量の低下→糖が細胞内に取り込めない。→細胞内で糖を利用できない→血中の糖が増加する→糖尿病となる。
(2)運動しない。→エネルギー消費の低下→消費の低下にかかわらず糖を多くとる。→過分な糖が血液中に残る。→血液中の糖が上がる→糖尿病となる。
このような図式が、考えられます。

第七回 2013年11月

2013.11.01更新

皆さんいかがお過ごしですか?
今回から「成人病=生活習慣病」に入りたいと思います。
<高血圧症について>
病名はその病気の特徴をよく表しています。この「高血圧症」もその名の通り血圧→高いとなります。また「病」を使わず「症」という字をあてているのにも意味があります。
そうです。「高血圧」は、一般にいう病気とはすこしちがうのです。高血圧症のほとんどは「ある一定の年齢に達すると徐々に血圧が上がってくる体質」が原因となっています。医学用語では「本態性高血圧症」といいます。高血圧体質の原因には、遺伝的・習慣的・環境的要素があげられます。
これらの要素が、複雑に絡み合って中年以降にいわゆる「高血圧症」となるのです。この段階ではまだ病気とはいえません。血圧が高い状態を放置して、全身の血管や心臓に負担をかけ続けていると本当の病気である、脳出血・脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・腎不全等の恐ろしい病気に進展していくことになるのです。
よく患者さんで「血圧の薬を飲み始めると一生飲まなくてはならないのでイヤダ!」と言われる方がいます。しかし、高血圧は「症」であって「病」ではないのです。前述のような本当の病気にならないためにも、病気以前の体質改善のために薬(降圧剤といいます)が必要な人は飲むように勧めます。
もちろん、生活習慣における改善も必要です。

(1)塩分を控える(薄味に慣れる)
(2)寝不足やストレスをさける。
(3)たばこ・コーヒーをとりすぎない。
(4)適度な運動をする。

といったことはみなさんもよく聞くことと思います。血圧を正常に保つということは、血管を健康に保つと言うことになります。血管の健康はすべての臓器を健康に保つ必要条件と言えましょう。

第六回 2013年9月

2013.09.01更新

皆さんこんにちは。
今年の夏は、だらだら暑い日が続いています。これも温暖化のせいでしょうか?
さて、前回までで産業保険の概要を説明しました。要約すると、労働者は仕事にかかわる時間は家での時間よりずっと多く、生活習慣は、仕事場およびその関連において形成されることとなります。
そこで、仕事場の環境整備、仕事の内容とその仕方などが、健康管理には重要となるのです。
これらをよりよいものとして健康増進に資していくのが産業保険の目的であります。
前回まで、主として環境整備を中心として説明してきましたが、仕事の内容・仕方については例えば、鬱から仕事復帰するときのリハビリスケジュールの作定などがあります。
また、残業時間がある一定の時間を超えると本人と面談して、健康状態の把握と残業時間を減らすよう、勧告したりします。
このように個々個人との対話と相談が重要な一面もあります。

以上、6回にわたって産業医の概要を説明してきました。次回からはUpdateな話題を含めて、生活習慣病についてお話していきたいと思います。

第五回 2013年7月

2013.07.01更新

今年は、梅雨が短く暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。
さて、前回までは安全衛生委員会で、どのようなことが議論されているかということを具体的にお話ししました。その中でも、「ヒヤリーハット」が事前に労災事故を防ぐためには最も重要な要素であることでした。
「ヒヤリーハット」は、その性格上、自分(あるいは他人)の不注意や失敗という側面があるために最初のうちはなかなか提出しにくいものですが、「ヒヤリーハット」として出されたものは、その内容のみが重要であって、誰が失敗したとか誰の不注意だとか言ったことは全く問題にしません。事実のみに注目して、それを素材に今後の労災防止につなげていくこととなります。「ヒヤリーハット」=色のついていない事実と言えるでしょう。
したがって積極的に提出することによって、労災事故の確率が低くなっていきます。
このように「ヒヤリーハット」は、労働安全上非常に重要で、企業によっては一定数以上提出するようノルマを課している場合もあります。

第四回 2013年5月

2013.05.01更新

皆さんお元気ですか。
淡い緑が心地よい季節になってまいりました。
今回は、企業の安全衛生活動での中心である安全衛生委員会ではどのようなことが議論・議題とされているのかお話ししたいと思います。
前回お話ししたように、より安全で快適な職場を実現するために3大管理を基本として展開・発展させてゆくことが重要となっています。
(1)健康管理に対しては、定期健康診断の実施とその結果を有効に使ってもらえる方策を議論します。
また、季節ごとに注意すべき疾患についての予防、例えば秋から冬にかけてはインフルエンザ、春には花粉症といった季節特有の疾患についてその年の方針を立てます。

(2)労働災害を未然に防ぐための「ヒヤリー・ハット」の検討。
「ヒヤリー・ハット」についてお話しします。
通勤を含めた就業時間内で、「ひゃっ!」としたこととか「はっ!」としたこと、いわば労災事故になる寸前の気づきに対する「事実」をいいます。 これは、労災事故の底辺には多くの「ヒヤリー・ハット」なる事実が重なってその結果、事故が生じるという考え方です。例えてみれば、水面上に見える氷山が事故であり、その下には多くの「ヒヤリー・ハット」なる事実の本体が隠れているはずだという考え方です。この水面下の「ヒヤリー・ハット」なる事実を顕かにして事前に大きな事故=労災事故を防ごうということです。
したがって、「ヒヤリー・ハット」の提出が多ければ多いほど、労災事故が生じる根元が顕かになり対策することにより、大きな事故を防げることになります。これら「ヒヤリー・ハット」を一つ一つ検討し、対策を考え職場全体に還元していきます。

(3)実際に生じた労災事故の詳細な分析と今後の改善と防止策の検討
以上が、安全衛生委員会で議論・検討されることの大まかな流れです。

第三回 2013年3月

2013.03.01更新

皆さんこんにちは。
今年も、インフルエンザの流行を経て花粉症の季節になりました。
何かと、健康を維持するのも大変な時代となってきています。
しかし、医療の発達に伴って事前の予防により、病気の発症やたとえ発症しても軽くすませる方策すなわち、プライマリーケアーも進歩してきています。
さて、前回の続きですが勤労者の安全・健康維持を有効かつ実効的にする具体的な組織構成についてお話しします。
それぞれの企業では、まず衛生安全について話し合う会を設置します。
国で言えば、国会にあたります。これを安全衛生委員会といいます。
この構成は
(1)総括安全衛生管理者(事業者あるいは工場長)
(2)衛生管理者(事業者が有資格者のなかから選ぶ)
(3)産業医
(4)衛生管理の経験のあるもの
などです。安全衛生委員会は毎月1回、開催することになっていて議事は多数決では決定しないことになっています。
このなかで、職場の「健康管理」「作業管理」「作業環境管理」の3大管理を円滑に行うための合議をしていくことになります。
そして、有効な決定事項は各部署に通達され、実行あるいは努力目標とされていきます。
以上簡単に流れを書きましたが、次回はこの会議でどのようなことが議論されているかについてお話ししたいと思います。

第二回 2013年1月

2013.01.01更新

皆さんこんにちは。
寒い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は産業医がどのようなものかということの概観を示したいと思います。
産業医の基盤は、臨床医とは少し違っていて法律に強く則って仕事の内容が決められているということです。
例えば、「月1回以上職場の巡回をしなければならない。」とか「健康診断結果の内容を個人個人に知らせなければならない。」など、仕事の内容が定められています。
職場は、定年に至るまでで人生で最も長く過ごす場所であるにもかかわらず、戦前までは、職場での健康維持管理が重要視されていませんでした。
戦後憲法は主権者である国民の「生命・自由・財産」を守ることを主眼として成立しています。そこには、医療と関連する「生命を守る」ということが謳われています。
そこで、憲法理念から派生した法律で産業医に関連する基本的法律は、皆さんもご存知の「労働基準法」です。この法律から安全衛生部分を独立させた形で「労働安全衛生法」が昭和47年にできあがりました。この法律の趣旨は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」とのことです。
ここでのキーワードは「労働者」「健康」「環境」「安全」です。
「労働者」はこの法律によって恩恵を受ける主体者「安全・健康・環境」は改善されるべく対象です。しかし、一方的に使用者や産業医だけに義務を課しているのではなく企業全体で協力していくことが望まれています。
次回はこれらが、どのような構成で運営されているかお話しします。

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